このページでは、里山や環境問題に関する法律の話題について不定期にご紹介しています。
アスベスト被害(この記事は2005年に書かれました)
今回は現在大きな社会問題になっている「アスベスト被害」について解説します。
アスベストとは、白石綿、アモサ石綿、青石綿といった非常に細かい繊維からできている自然鉱物のことです。アスベストは防音、耐熱、絶縁などに優れていることから、広く建築資材として使用されてきましたが、その粉じんの吸入により悪性中皮種などの健康被害を生じさせます。
このアスベスト被害は決して新しい問題ではなく、国際的にはすでに国際労働機関(ILO)が労働環境問題として取り組んでいます。たとえば、1986年にはアスベストの使用をほぼ全面禁止する「アスベスト規制条約」を採択し89年に発効しています。しかし、日本は批准していません。
一方、日本におけるアスベストは大気汚染防止法において「特定粉じん」として排出基準と濃度が規制されてきました。また、じん肺法における健康診断や労働安全衛生規則などにる対策も行われています。
日本の法規制はアスベスト規制条約と内容的に適合する部分も多いのですが、それでも石綿の輸入は継続されアスベスト使用の全面禁止には至っていません。こうした規制の甘さによる被害がここにきて明るみになった形です。この点、これまで対策を怠ってきた行政の責任は免れないのではないでしょうか。
アスベスト被害は環境問題というぼんやりした範疇でとらえるのではなく、公害問題及び労働問題として責任の所在を明確にする必要があると私は考えます。そして、被害者の救済とアスベスト使用の全面禁止に向け、政府は規制新法の早期成立と条約の批准を早急に実現すべきだと思います。(無断転載・盗用厳禁)
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グリーンツーリズムと規制緩和(この記事は2005年に書かれました)
グリーンツーリズム、いわゆる農山漁村地域において、その地域の自然や人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動は、農水省などの熱心な取り組みとともに最近ではかなり普及が図られ、都市住民のリクリエーションの一つとして定着しつつある。とくに農家民宿は農家の新たな収入源としての役割もあり、農村の活性化にも役立つともいえるものだ。
ところで、この農家民宿を開業するためには、旅館業法、建築基準法、消防法、食品衛生法など、多くの許認可手続をクリアしなければならない。
これは、環境問題に関心がある立場からすると喜んではいられない。規制が多すぎるとそれだけ農家の負担が大きく、グリーンツーリズムの本来の目的が果たせなくなってしまうのだ。
昨今の構造改革の流れを受けて、こうした規制に対する緩和措置も進行しているみたいではあるが、地域的な差異も大きく付け焼刃的対応だとの批判もある。そもそもグリ−ンツーリズムはヨーロッパが発祥の地であり、そうした慣習のなかった日本では統一的な対策がとれていないことも、ある程度無理のないことではある。
しかし、これからアクティブシニアも増加し、旅行マーケットの拡大も予想できるわけだから、グリーンツーリズムに対する統合的な規制緩和を実施して都会と農村のWin-Winな関係を進めてもらいたいものである。
(無断転載・盗用厳禁)
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廃棄物と日本社会 【後編】(この記事は2005年に書かれました)
さて、前回に引き続き廃棄物の話をしよう。廃棄物については廃棄物処理法に定義がある(2条)。そして、廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に分類されている。産業廃棄物とは、工場などの事業活動に伴って排出される廃棄物のうちで法律で定められた20種類の廃棄物のことをいい、一般廃棄物とはそれ以外のものをいう(生活ごみなどがこれ)。さらに、両者の中でも、特に管理の必要なものは特別管理廃棄物として区別され、その取扱いが異なる。
これら廃棄物は、廃棄物の種類に応じて分別・収集・処理等の各作業ごとに処理基準が設けられている。特に産業廃棄物の処理責任は排出事業者にある。そこで、その処理は排出事業者が自ら処理するか、処理業者に委託するなどしなけばならない。
では、産業廃棄物の処理の現状はどうなっているのだろうか。産業廃棄物の最終処分場の残余年数の統計によると、平成13年4月1日現在の処分場の残余年数は、全国平均で3.9年、首都圏1.2年、近畿圏で1.9年である。そうすると、すでに首都圏と近畿の最終処分場は処理の限界を迎えており、今年中には全国の最終処分場が機能麻痺に陥るわけだ。まさに危機的状態である。
一方、不法投棄の件数も増加している。環境省の平成15年度発表資料によると、平成14年度は、投棄件数では前年度よりも件数こそ減少したが、投棄量では
7.6万トン増加した。特に5000トン以上の大規模な不法投棄の量が前年の倍近くになったことが特徴的だ。また、不法投棄量でみると、許可処理業者によるものが最も多く(約45%)、はたして法による監視がどこまで有効に機能しているのか疑問を投げかける結果が出ている。
ところで、不法投棄が大きな社会問題となったのが、中坊・元弁護士も登場した愛媛県豊島の廃棄自動車問題だ。この豊島の事件にるいては、後日、日を改めて焦点をあてることにします。
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廃棄物と日本社会 【前編】(この記事は2005年に書かれました)
今回から廃棄物と日本社会に関していろいろと紹介しよう。ところで「廃棄物」という言葉が一般化したのはつい最近のことで、飯島先生の本(*)によると、
1994年の広辞苑は、まだこの言葉を項目として取り上げていなかったそうだ。1994年といえば地球サミットから2年も経っていることを考えると、これは意外なことである。
一方、法律の世界では、1970年に旧廃棄物処理法が成立し、「廃棄物」という言葉はすでに用いられていた。それまでの廃棄物は、ゴミ・汚物として扱われており、これを処理することは汚物処理と考えられていたが、同法はこれらに廃棄物という言葉を当てはめ、その性格を変化せしめたのである。さらに法律は「廃棄物」という言葉を細かく定義付けしているが、これは後日紹介しよう。
ところで、現在、廃棄物に関する国の監督官庁は環境省であるが、これは2001年の省庁再編によって旧厚生省の管轄を引き継いだものである。厚生省は敗戦
7年前に旧内務省の社会局と衛生局が分離して設立された官庁で、廃棄物行政は省内の生活衛生局が長らく担当してきたわけだ。
そして、前身の内務省は戦前の中央集権行政の中核を担った官庁で、地方行政と警察行政を主な任務とした官庁である。してみると、廃棄物行政は最初、警察行政がこれを担い、やがて衛生行政へ移り、21世紀になって環境行政として認識されるに至ったわけだ。この辺には歴史を感じる。
しかし、香川県豊島の産業廃棄物不法投棄問題を見ても、廃棄物問題は不法投棄等との関係で、今なお警察行政との関係も大きく、環境部門によるのみでは解決できない。まさに総合的な見地からの解決が求められる複雑な問題といえるでしょう。(無断転載・盗用厳禁)
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森林認証制度 【後編】(この記事は2005年に書かれました)
では、森林認証制度とは何か。森林認証制度とは、簡単に言えばラべリングによる森林保全だ。すなわち、持続可能に管理されている森林を認証し、その森林から生産または製造された木材製品に認証マークをつける。そして、消費者には認証マークの付いた製品を選んで使用してもらうというわけである。
木というものは不思議だ。どういうわけか人の心を和ませる暖かさがある。同じ機能の製品でも木製のものを好む人も多いのではないだろうか。ところが、例えば、製品の素材である木材が発展途上国の違法な児童労働で伐採された木材だった場合、気持ちよく使えるだろうか。やはり、適切な方法で管理された木材で作られた製品を使いたいと考えるのが人情というものだ。木は素材が剥き出しだから余計にそうした気持ちになってしまう。
森林認証制度は、こうした消費者の微妙な心理をとらえながら、木材やその製品の購入に際して選択肢を与え、ラべリングされた製品を消費してもらうことにより、森林の破壊を防止することを目指しているのである。そして、同時に適切な森林管理を行っている林業者を市場を通じて支援することで、持続可能な林業の発展に貢献しようというわけだ。
こうした森林認証制度を利用した森林経営は世界的には広がっているが、日本ではまだ始まったばかりである。また機会があれば国内の森林認証事例を紹介してみたいと思います。 (無断転載・盗用厳禁)
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森林認証制度 【前編】(この記事は2005年に書かれました)
今回は森林認証制度についてご紹介する、ところで、森林の保全に旧来から熱心な国際組織の一つは国連食料農業機関(FAO)であることは意外に知られていない。FAOは農民の生活水準の向上や栄養状態の改善、農業生産性の向上などについての国際協力を目的に設立された機関だ。そして、自然資源の保全と管理のための長期戦略の一環として森林プログラムを実施している。
一方、森林保全は実は環境条約の手落ち分野だ。1992年にブラジルのリオで開催された地球サミットでは、さまざまな環境条約が採択された。たとえば、気候変動枠組条約しかり生物多様性条約しかりだ。ところが、本来ならば採択されてしかるべき分野の条約が採択されずに残った。それが森林保全の分野なのである。
もちろん森林保全のための国際協力が全くないわけではない。特に減少の著しい熱帯雨林については、国際熱帯木材機関(ITTO)が持続可能な熱帯雨林の管理にのりだしているし、国際環境NGOのWWFは熱帯雨林の保全にはことさら熱心で、自然保護債務スワップによる森林保全はかなり普及している。
ところが、こうした森林保全の動きがあるにもかかわらず、森林保全一般を目的とする国際条約は存在しないところに、森林をめぐる問題の難しさを垣間見ることができる。その解決の一手段として登場したのが、森林認証制度なのである。(無断転載・盗用厳禁)
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